
モンゴルおける気候変動影響を勘案した砂漠化対策形成の検討業務
1. 調査期間:
2008年11月24日(月)−12月3日(水)
2. 調査目的:
1ドントゴビにおけるモデル事業の進捗状況の把握と評価
2.第4回ラウンドテーブルの開催
3.第4回ステアリング・コミッティの開催
4.第1回国際セミナー組織員会の開催
3. 現地調査スケジュール
日程 | 内容 |
11/24(月) | 成田−UB |
11/25(火) | 地生態学研究所との打合せ(14:00) JICA訪問、国際セミナー打合せ (17:00) |
11/26(水) | UB -MG バグ長との打合せ(14:00〜15:00) モデル事業対象地域視察、実施地域でのヒアリング |
11/27(木) | モデル事業対象地域視察、実施地域でのヒアリング |
11/28 (金) | ラウンド・テーブル開催 MG - UB |
11/29(土) | 資料作成 |
11/30(日) | ステアリング・コミッティに関する打合せ 資料作成 |
12/1(月) | 国際セミナー組織委員会に関する打合せ モンゴル科学院副学長N.Altansukh(11:00〜12:00) SDCのGreenGoldプロジェクトの職員T.Erdenechuluun(14:00〜) 在モンゴル日本大使館(17:00〜18:00) |
12/2(火) | ステアリング・コミッティ開催(9:30〜12:30) 食料・農牧・軽工業省付属農業普及センタ―訪問(14:00〜15:00) |
12/3(水) | UB -北京 -成田 |
4. 調査チーム:
松岡 俊二(早稲田大学教授)
岡安 智生(東京大学助教)
中村 洋 (地球・人間環境フォーラム・研究員)
Lhagvajav Altangerel (地球・人間環境フォーラム・客員研究員)
Sodnomdarjaa Delgerjargal(早稲田大学大学院)
5. モデル事業の進捗状況の把握と評価:対象とする3つの牧民グループ
2008年11月25日にモンゴル国科学院付属生態学研究所を訪問し、本モデル事業の対象とする3つの牧民グループの利用している井戸の水質と牧草地の土壌に関する調査結果報告書について議論を行った。報告書の作成および分析に携わった専門家と研究所長Tsogtbaatar氏が参加した。
2008年11月26日にモデル事業が実施されているDundgobi県Saintsagaanソム第4バグのバグ長T.Batjargal氏と事業活動内容について打合せをし、情収集を行った。
11月26日および27日に、対象牧民グループの活動内容を把握するため、各対象グループを訪問し、聞き取り調査を行った。これまでの事業活動の把握とモデル事業の経済、社会、環境、制度の評価に関する情報を収集した。
最初にAdiyaグループを視察し、活動内容を把握した。
飼料・野菜生産地と緊急用牧草地を囲い、野菜生産を行い始めている。最初の計画と実績が異なっていた。また、グループ・メンバーの変更もあった。飼料作物としてアルファルファを栽培し、灌漑用にスプリンクラーを設置していた。また、灌漑用のため池作りとため池用の小型ダムの設置もしていた。Adiyaグループは将来的には生産性の高い乳牛を飼育し、定住型畜産を行う予定である。
図3.修復した井戸と禁牧地の視察(Sugirグループ)
6. 第4回ラウンドテーブル(RT)の開催
2008年11月28日にSaintsagaan ソム庁内の会議室において、第4回ラウンドテーブルを開催した。現地の県、ソム行政機関の担当者および牧民など合計21人が参加した。
今回のラウンドテーブルでは、これまでの事業内容の説明、前回のRTおよびSC会合の概要、今回のモデル事業の視察および調査結果をもとに、モデル事業の進捗状況とその評価結果の報告、今後の方向性などについて議論が行われた。
・ 対象牧民グループの経営状況は、灌漑用ガソリン使用により、収益の上がる構造とはなっていない。その灌漑用のエネルギー源として太陽光および風力などの自然エネルギーの利用策を検討することが必要である。
・ 飼料用のトウモロコシの種子が必要
・ 飼料・野菜栽培、乳牛飼育に関する技術指導が必要
といった意見があったため、次回のラウンドテーブルでは、来年度の支援について検討し、技術的な指導を行うようにしたい。
図4.第4回ラウンドテーブル(ドントゴビ県マンダルゴビ市)
7. 第4回ステアリング・コミッティ(SC)の開催
2008年12月2日、内閣府・会議室において第4回SCを開催した。
会合では、事業内容の説明、第4回ラウンドテーブルの概要、現地調査結果に基づくモデル事業の進捗状況と経済、社会、環境、制度・政策に関する評価結果の報告、今後の方向性について議論が行われた。また中央・地方レベルでの気候変動への適応、それに関する砂漠化対処、地域開発政策、農牧業振興政策などの現状を把握する目的で、SCのメンバーにより「中間とりまとめ」報告書の作成、本事業の成果を踏まえた国際セミナーの開催のための組織委員会の設立について議論した。
・ モデル事業の進捗状況に関しては、効果があり、将来的にゴビ地域の半定住型モデルになれるような大事な事業である。
・ ゴビ地域は広いため市場アクセスに関する調査を行うべき。
・ 他の事業、プロジェクトと連携し、情報交換を行うべきといった意見が出された。
図5. 第4回ステアリング・コミッティ(内閣府会議室・ウランバートル市)
8. 第1回国際セミナー組織委員会の開催
本事業の成果を踏まえ、政府関係者、援助機関担当者、研究者を集め、これまでこの分野で得られた教訓と経験を共有する目的で、2009年1月にウランバートルにおいて、国際セミナーを開催する予定である。そのための組織委員会の設立とセミナーの開催への協力、今後の基本的な方向性について議論した。
・ 科学院副学院長N.Altansukhと面会
・ 在モンゴルJICA事務所所長石田と面会
・ 在モンゴル日本大使館大使
・ SDC「Green Gold」プロジェクトの職員T.Erdenechuluun氏と面会
・ 研究者Batima氏と面会
これら関係者と面会し、協力を依頼し、第4回STにおいて組織委員会が設立された。国際セミナーを2009年10月22日−23日、Ulaanbaatar市において開催する予定である。
9. 農牧省農業普及センター訪問
今後の牧民に対する技術指導のため、農牧・食糧・軽工業省付属農業普及センターを訪問した。
1.センタ―は各県、一部のソムに支所がある。主な活動は、研修の実施(現地の普及職員や各地の専門家、そして研究所からのゲスト・アドバイザーによる専門的な研修、セミナー)、情報普及と広報(モンゴルのテレビやラジオ番組、新聞、雑誌をとおしての技術普及など)である。
2.センター長により、ゴビ地域での技術指導は可能との回答があった。
10. 今後の予定
今後は、2009年2月18日に国内検討委員会を開催する。また、2009年3月には第5回RT・SC、第2回国際セミナー組織委員会を開催するとともに、来年に向けた現地も出る事業の調整のため、ミッションをモンゴルへ派遣する予定である。
