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科研・基盤研究(B)「高レベル放射性廃棄物(HLW)処理・処分施設の社会的受容性に関する研究」

1) 研究代表者
  松岡俊二(国際学術院教授)
2) 研究課題
  高レベル放射性廃棄物(HLW)処理・処分施設の社会的受容性に関する研究
3) 研究目的
  本研究は、原子力発電所から出る使用済核燃料に由来するHLW処理・処分施設立地の社会的合意形成のあり方を、科学技術コミュニケーション研究における欠如モデル(Deficit Model)と文脈モデル(Context Model)に基づき、日本と欧州のケーススタディから、欠如モデルの限界と文脈モデルの適用可能性を明らかにすることを目的とする。その際、各モデルを分析する方法論として社会的受容性(Social Acceptance)論に着目し、HLW処理・処分施設の社会的受容性を技術・制度・市場・地域の4要素から定義し、日本と欧州における立地容認事例と拒否事例における各アクターの社会的受容性分析を通じて、欠如モデルの限界を実証的に検討し、文脈モデルの具体的な適用手法について考察する。
4) 研究項目
  ・人々はどのような文脈でこうした核廃棄物の最終処分施設の受容について判断しているのか?社会的受容に必要とされる情報や仕組みはどのようなものか?
  →欠如モデルと文脈モデルの検証の方法
  ・科学技術コミュニケーション研究で議論されてきた欠如モデルや文脈モデルを踏まえつつ、バックエンド問題をどのようなフレームで議論すべきなのか?
  →フレーム・チェンジの必要性と可能性や条件
  →賛成派と反対派を含めた議論の「場」の設定の必要性と可能性・条件
  ・実施機関や制度と社会的信頼との関係?最終処分法(2000年)と地方自治体、環境影響評価制度や原子力規制委員会との関係?
  →ミクロ・マクロ・ループのあり方。  
5) 3年間(2016-2018)の実施計画
  本研究は、高レベル放射性廃棄物の処理・処分施設の社会的受容性とは、「高レベル放射性廃棄物政策が社会に受入れられる条件や程度を示すもの」と定義する。また、こうしたHLW施設の社会的受容性は、(1)技術的影響評価である技術的受容性(安全性や技術的代替性など)、(2)社会的・政治的適応性である制度的受容性(倫理や原理面における正統性や政策一貫性など)、(3)経済性をみる市場的受容性、(4)地域的適応性をみる地域的受容性(手続きの正当性やリスク便益配分の公平性など)、という4つの要素(独立変数)から構成されると考える。
  こうした技術的・制度的・市場的・地域的受容性という4変数からなる社会的受容性アプローチにより、バックエンド問題における欠如モデルの限界と文脈モデルの適用方法を実証的に明らかにするため、日本の事例の詳細な調査研究と欧州事例との比較研究を行う。  

**詳しい情報は、早稲田大学レジリエンス研究所をご参照ください。



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